人間は自然の影響力は大?

 

自然の効果を示すデータで有名なのは

2016年にダービー大学が行ったメタ分析

 

研究チームは

「自然との触れ合いはどれだけ

  体にいいのか?」を調べるために

過去のデータから871人分をまとめて

大きな答えを出している

 

その結論をひとことで言えば

「自然との触れ合いにより

  確実に人体の副交感神経は活性化する」というもの

 

副交感神経は気持ちが

穏やかなときに働き出す自律神経

 

日中にたまった疲れやダメージを回復させる働きを持っている

 

つまり

自然は人体の疲労を回復する働きを持つということ

 

また

このデータでは「d=0.71」という効果量も出ている

 

効果量は統計手法のひとつで

論文の中では平均値の差を標準化したものを表わすが

ここでは大ざっぱに「自然の癒し効果」を表わした数字だと

考えても差し支えない

 

一般的には効果量は0.5を超えると

「効果大」と判断されるため

「0.71」はかなりの好成績

 

たとえば

自立訓練やマッサージのような定番の

ラクゼーション法は

副交感神経の活性レベルが「0.57」と出ている

 

自然どの触れ合いの数値を下回っている

 

単純な比較とはなるが

自然との触れ合いに

体のダメージを癒す効果があるのは確実だろう

 

自然がここまでの効果を持つのは

人類の「感情システム」に影響を与えるから

 

「感情システム」は人間の心の働きを

3種類に分類した考え方

 

一つが興奮

「喜び」や「快楽」といったポジティブな感情をつくり

獲物や食事を探すためのモチベーションを生み出すシステム

おもにドーパミンで制御される

 

二つが満足

「安らぎ」や「親切心」といったポジティブな感情をつくり

同じ種属とのコミュニケーションに役立つシステム

オキシトシンなどで制御される

 

三つが脅威

「不安」や「警戒」といったネガティブな感情をつくり

外敵や危険から身を守るためのシステム

アドレナリンやコルチゾールなどで制御されている

 

人間が最高のパフォーマンスを発揮するためには

三つのシステムがバランス良く機能する必要がある

 

快楽ばかりを追う人生は退廃に至り

安らぎだけの毎日に前進はなく

不安ばかりの暮らしは日々をよどませる

 

それぞれがしっかりかみ合ってこそ

人間はうまく機能できる

 

自然の環境は

三つの感情システムをバランス良く刺激する

 

季節のうつろいや草木の変化がほどよい興奮を生み

緑に守られる安心感が心地よい安らぎを生み

森や川に潜む未知の脅威がときに警戒を生む

 

自然のなかにいれば

特定のシステムが暴走することがない

 

ところが

都市の暮らしでは

おもに「興奮」と「脅威」のシステムだけが

活性化しやすくなる

 

その極端な例といえば

 

古代ローマ帝国だろう

 

当時のローマは

イタリア半島の属州から莫大な富が本国内に流れ込んでいたため

ローマ市民には食料と娯楽がタダで提供されていた

 

世界史にいう「パンとサーカスの都」

 

快楽の追求はエスカレートを続け

やがてローマ人たちは

食べものをいったん吐き出した後

胃袋が空になったところでまた食事を行うようになった

 

鳥の羽で喉の奥をくすぐって嘔吐を繰り返しては

キジの脳やフラミンゴの舌といった珍味をむさぼった

 

いっぽうで

ローマの暮らしは脅威にも満ちていた

 

人口が密集したせいで伝染病に弱くなり

町中に腸チフスマラリアが蔓延

 

蚊が多い7~8月には大量の遺体が路上にあふれ

当時のローマでは夏を「死の季節」と呼ぶほどだった

 

さらに

この時代には

定期的な奴隷の反乱や北方のゲルマン人による侵攻が頻発

 

ローマ市民といえども安定した暮らしを

謳歌できていたわけではない

 

この点から見れば

古代ローマは歴史上もっとも

「興奮」と「脅威」の振れ幅が大きかった時代と言える

 

ここまで極端ではないものの

現代の都市も「興奮」と「脅威」の

どちらかに触れやすい体質を持っている

 

巨大なショッピングセンターやカラオケなどの

娯楽施設がささやかな興奮を提供しつつも

仕事のストレスや経済的な問題により

いつも脅威の感覚がかきたてられ

そのくせ濃密なコミュニケーションが減ったせいで

安らぎの感覚は低下傾向にある

 

ポジティブな感情が多すぎても

ネガティブな感情が少なすぎても

人間の体はうまく機能しない

 

そのためには

できるだけ自然との触れ合いを取り戻し

失われつつある感情システムのバランスを

正していくべきである

 

著書の引用はここまで

 

これをあなたはどう解釈しますか

 

休日に自然と多く触れ合おうとか

自然が多いところに住もうと考えますか

 

ひとつ自身の考えを言えば

感情のバランスを適切にしていくことは必要なことだが

必ずしも自然と触れ合うことがすべてではない

 

今の自分の周りの環境を見渡してみよう

 

もうひとつ

自分自身の心の状態を自覚してみよう

 

日々嫌な人と接するなら

心の状態(感情のバランス)はどうなっているか

 

ネガティブ感情を抱くことだろう

 

日々上司に怒られていたら

心の状態(感情のバランス)はどうなっているか

 

ネガティブ感情を抱くことだろう

 

逆に

 

日々自分の思い通りになっていたら

心の状態(感情のバランス)はどうなっているか

 

ポジティブ感情を抱くことだろう

 

その状態を保持したままでどうなるか

考えることありますか

 

感情のバランスを考えるだけでは

実は問題がある

 

そこらへんのところはおいおい伝えていこう

 

心を穏やかにできる術を覚えたなら

(もちろん理性的でなく感覚的にも)

自然に無理して触れ合う必要はない

 

快楽だけ、ポジティブ思考だけでは

物事をうまく行かせ続けることできない

 

苦痛だけ、ネガティブ思考だけでも同様

 

さらには

快楽の質がどんなものか

 

快楽がギャンブルなのか読書なのか

 

苦痛の質がどんなものか

 

苦痛がハラスメントからもたらせるもなのか

それとも価値を生み出すためにもがいているのか

 

くり返しになるが

感情の「中庸(最適なバランス)」がどんな感覚かを

日々のなかで覚えていこう

 

それは自然以上に

あなたの環境に対する見方と

環境があなたに対する刺激への反応を

心が穏やかになるようになればいい

 

見方を変える

考え方を変える

価値観を見直す

自分の能力範囲を理解する

知の枠組みを広げる

 

などなど

 

感情のバランスがとれるように

理性をうまく使おう

 

心の振れ幅を大きくならないように

常にさざ波状態に戻すこと

 

外的なものに振り回されないように

人のうわさ話

人からの誹謗中傷

人によく見られようすること

 

それらを気にするのであれば

すべて心を乱すもの

 

自分と環境をそのまま

成り行きに任せるなら

 

周りに振り回され

内なるトカゲに従っている状況なら

自然との触れ合いは必要だろう

 

 

環境と自分を常に

よりよくしようと日々試行錯誤しているなら

わざわざ自然に触れ合うことを意識することはない

 

ただしこれは

自身の今の考えであって

正しい答えではない

 

ご自身のやり方で

よりよい人生を築いていこう

 

ここで

そんな自己管理(自分をよりよく)することについて

ひとつ注意しておきたいことを

自身のメンターの話を通して示しておきます

 

自己管理力を高めるため方法は、

逆説的ですが「自己管理を“しようとしない”」ことです

 

私達は自己管理をしようとすればするほど、

自己管理能力が落ちることがわかっています

 

これは『意志力の科学』という本の著者である、

ロイ・バウマイスターの研究で明らかになりました

 

つまり

「自己管理をしようとすればするほど

人は自分に厳しくなる」のですね

 

私たちは自分に厳しくなればなるほど

自堕落になってしまいます

 

では、どうすれば自己管理ができるのか

 

セルフ・コンパッションと言うのですが、

日本語に訳すと「自分への優しさ」です

 

もし自己管理が苦手だと感じているのであれば

もっと自分に優しくしたほうがよいでしょう

 

「自分に厳しいことが、自己管理力を下げている」

ということは覚えておいてください

 

引用はここまで

 

よりよくしようとしてもうまくいかないからといって

投げやりになったり

やめようとしたなら

「自分への優しさ」に目を向けてみよう

 

続ける力は

意志力の強さとか

根性とか

精神力の強さではない

 

いかに自分自身にやさしくなれるか

 

いかに自分を自分でいたわれるか

 

いかに自分を許せるか

 

いかに自分のダメさすべてを受け入れられるか

 

それが一番の続けられるコツ

 

それが一番の諦めないコツ

 

それが一番のやり切るコツ

 

あなたは

自分に厳しくもあり

自分にやさしくもなれる

 

そのバランスを意識しよう