心の状態が良くも悪くも行為を左右する

「友人を大切に」と言われれば

古臭い道徳訓のように響くかもしれない

 

しかし

ここ数年のデータは

いずれも良好な人間関係がもたらすメリットを

ハッキリと示している

 

代表的なのは

ブリガムヤング大学による2010年のメタ分析

 

研究チームは

過去に行われた「孤独と健康」に関する研究から

31万人分のデータを精査し

人間の寿命を延ばす効果が高い要素を抜き出した

 

その結果は

「良好な社会関係」の数字がずば抜けている

 

孤独だった人に友達ができた場合は

最大で15年も寿命が延びる傾向があったとのこと

 

健康への効果はエクササイズやダイエットの約3倍に当たり

なんと禁煙よりも「友人」のほうが影響が大きいという

 

もうひとつ興味深いのが

ハーバード大学が行った「成人発達研究」

 

これは1939年からスタートした研究で

約80年間にわたって724人の人生を記録し続けたもの

 

全員が10代の学生だったころから調査を始め

定期的に体調や幸福度を尋ねるのはもちろん

かかりつけの医者からカルテを手に入れたり

家族との会話をビデオで収めたりと

膨大な労力が注ぎ込まれた

 

参加者の行く末は幅広く

弁護士や医者になった人

サラリーマンや工場労働者になった人

ボストンのスラム街でホームレスになった人まで様々

 

彼らの多様な人生をすべてパッケージ化したうえで

「人間の幸福にとって最も大事なものとは?」の答えを

数字で割り出した

 

研究のリーダーであるロバート・ウィルディンガー教授は

「彼らの人生から得られた

  何万ページにもなる情報から明らかになったことは何でしょう?

  それは富でも名声でもがむしゃらに働く事でもありません 

  私たちの体を健康にし

  心を幸福にしてくれるのは『良い人間関係』です

  これが結論です」と述べている

 

考えてみれば当然のことだろう

 

いくら富や名声を得ようが

病気にならない完璧な肉体を持とうが

人類の3つの感情システムは最適化されない

 

身近な人たちとの関係が悪ければ

「満足」の機能は活性化されず

手に入れたものはすべて無に帰す

 

もしあなたが幸福よりも富や名声を追うタイプの人間だったとしても

良い友人の重要性は変わらない

 

「成人発達研究」のデータでは

人間関係が悪い人にくらべて

良い友人が多い人は3倍も仕事で成功しやすく

年収も高い傾向が見られたからである

 

再びウィルディンガー教授の発言を引き出そう

 

「良い人間関係は私たちの脳を守ってくれます

  周囲との良い関係を80代までキープできた人や

  何か困ったときに助けを求められる相手がいる人は

  はっきりした記憶を長く持ち続けられます

  しかし困ったときに頼る相手がいないと

  早い段階で記憶力が低下し始まるのです」

 

孤独から来る炎症で体調が崩れ

さらには脳の機能まで衰えてしまうのであれば

仕事のパフォーマンスが下がっていくのは当たり前の話

 

幸福

名声

健康

これらすべて人間関係の土台があってこそ

 

最新の科学からみれば

「自然を大切に」や「友人を大切に」といったフレーズは

遺伝と環境のミスマッチが起きた現代においては

「自然」と「友人」への投資こそが

もっとも費用対効果が高い行為となる

すべては「あなたの心」が日常でどうあるか

 

引用はここまで

 

人間関係も心の問題だから

 

著者の説明であれば

日頃から心を穏やかな状態にしておく習慣のために

無意識的に「自然」や「友人」に頼るということになる

 

しかし

自然に触れ合わなくても

友人がつくれなくても

あなたの心を穏やかになるように

環境を整え

心の柔軟性を身につけるならば

別に必要はないだろう

 

身につけているなら

あくまで自身の経験上では

孤独感を感じることもない

 

一方で

環境の変化から人との他愛ない会話など

あらゆる行為に対して

心を成り行きに任せるなら

環境の影響力(環境の良し悪し)は大いに関係してくる

 

ただ

良い人間関係の維持は

あなたの心とともに

あなたの人間性が問われることにもなる

 

文脈によって

自分の心の状態によって

相手の心の状態によって

いくらでも関係性を悪化させる要因があるから

 

しかし

誰もが渇望している自己重要感が

最も満たされるのは

良い人間関係からもたらせるものだから

 

だからこそ

自分の人生に

つまり今の仕事(経営)に

人間性(人格)」を中心に据えた

 

それこそが自分の心とともに

周りの心を安定しやすくするためにもだ

 

人格を目的にするという

理性だけではカントの考えはとても難しいこと

 

としても

心の安定に欠かせない

ブレナイ自分軸を形成していくうえで

人間性を磨くこと

 

右肩上がりの成長は続かないし

想定外の不都合なこともあるし

いろいろな文脈が環境を変化させようとする

 

それに加えて

人間性は脆い

 

 

それらに目を背けては

よりよい関係性は築けないし維持できない

 

あなたの心がどんな状態のときに

間違いを素直に認められますか

失敗を素直に認められますか

人の間違いを許せますか

人の失敗をリカバーしてあげようと思いますか

嫌なことがあっても前に進もうとしますか

損をしてでも自分の大切な価値観を優先しますか

自分の都合より相手の都合を考えますか

 

今がそうなら

今の心を自覚し

環境を見渡して

どうすればその状態が維持できるかを考えよう

 

今はそう思わないなら

準備として

そういう心の状態になるよう

そして維持できるか考えよう

 

一朝一夕でできるようなものでもないから

 

自身はずっと10年以上

現在進行形で挑戦中(試行錯誤中)

 

すべてはあなたの心の状態が

あなたの日々のあらゆる行為を左右する