今年一年一つ意識してみよう

ティーブン・R・コヴィー著の

「第8の習慣」からの一節

 

良心とは自己犠牲のこと

 

より高い目的、大義、原則のために

自己あるいはエゴを抑制することである

 

犠牲とはよりよいもののために

よいものをあきらめることだ

 

しかし実は

自己犠牲を払う人の心には

犠牲を払っているという意識はない

(ここはとても大切な意識)

 

他人の目に犠牲と映っているだけだ

 

人生の四つの側面の中で

自己犠牲はさまざまな形をとる

 

肉体的・経済的な犠牲(肉体的側面)

 

開かれた探求的な知性を開拓し

自分の偏見を排除すること(知的側面)

 

人に深い愛情と敬意を示すこと(情緒的側面)

 

そして

より偉大な善のために

自分だけの意志を抑制し

より高い意志を優先すること(精神的側面)

 

良心は目的と手段は不可分であることを教えてくれる

 

目的は手段の中にあらかじめ存在している

 

カントは目的に劣らず手段も重要だとした

 

マキャベリは逆に目的が手段を正当化するとした

 

ガンジーの教えのなかに

私たちを滅ぼす七つの条件というものがある

 

ここでそれらを考えてみよう

 

じっくり注意深く検討して見ると

いずれも目的が無原則的な手段によって実現される場合が

みごとに浮き彫りにされていることに気づくはずだ

 

労せず手に入れた富

 

良心なき快楽

 

人格なき知識

 

道徳なき商売

 

人間性なき科学

 

自己犠牲なき崇拝

 

原則なき政治

 

上記のような羨ましい目的がいずれも誤った手段で

達成できることは実に興味深い

 

しかし

称賛すべき目的も

誤った手段で手に入れれば最終的には

無価値な塵と化すのである

 

ふだんあなたも仕事している中で

正直な人、約束や義務を果たす人を

見わけることができるはずだ

 

逆に二枚舌で嘘つきで不正直な人も見分けがつく

 

不正直な人と契約を交わしたときなど

相手が契約を必ず履行すると信じることができるだろうか?

 

目的と手段の価値を教えてくれ

両者が不可分であることを教えてくれるのは良心である

 

しかしエゴ(ここでは内なるトカゲ、獣)は

目的がいかなる手段も正当化するのだと

私たちにささやく

 

無価値な手段では価値ある目的を

真に達成することなどできないのに

エゴはそれを知らない

 

一見できそうに見えるが

誤った手段を用いると思いもよらない結末を迎え

最後には目的そのものが損なわれてしまうのだ

 

たとえば

部屋を掃除しろと子供を怒鳴りつけるとしよう

 

部屋をきれいにするという目的は

とりあえず達せられるだろう

 

しかし怒鳴るという手段を使ったのでは

親子関係を損なうだけでなく

あなたが二日も出張に出ていれば

部屋はもとおどり散らかり放題になることは間違いない

 

良心は私たちを人間関係という世界に導いてくれる

 

その結果

私たちのビジョン、自制心、情熱は大きく変革される

 

良心によって

私たちは独立した個人から

相互依存的な人間関係へと進むのである

 

そうするとすべてが変わる

 

まずビジョンや価値観を人々と

分かち合う必要があることに気づく

 

ビジョンや価値観が共有されていない限り

それらを体現する一定のルールの仕組みやシステムも

受け入れてもらえないからだ

(共有されていなければ必ず変化の抵抗にあう)

 

価値観が共有されていれば

要請せずとも規律と秩序は生まれてくる

 

良心はなぜという問いに答え

ビジョンは何を

自制心はどのように達成すべきかを明らかにする

 

そして

情熱はなぜ

何をどのように行うべきかという思いに

力を与える

 

良心は情熱を思いやりへと変革する

 

良心は他人への偽りのない気遣いを生み育てる

 

それは同情と共感の合わさったもので

互いの苦痛を分かち合い

互いに受け入れさせる

 

情熱が相互依存的な形で現われたものが

思いやりなのである

 

良心に従って生きようと努めれば

誠実さと心の平安が生まれる

 

ドイツ生まれのキリスト教長老派の牧師・作家で

自己啓発に関する講演でも知られた

ウィリアム・J・H・ベトカーは

20世紀のはじめに次のように述べた

 

「自己の尊厳を守るためにも

  間違っているとわかっていることをやって

  一時的に人を喜ばせるより

  正しいと信じることをやって人の不興を買う方がよい」

 

こうした自尊心と誠実さは

他人に対して優しくすることも

勇気を持って接することも可能にする

 

人の意見、感じ方、経験や信念を

おおいに認め尊重するという点で優しさがある

 

恐れることなく自己の信念を表明できるという点で

勇気が示すことができる

 

異なる意見が作用し合い

どちらの意見よりも優れた第三の選択肢が生まれることもある

 

これこそ真の相乗効果であり

それは単なる部分の総和よりも

偉大な総合を生むものである

 

良心に従って生きることをしない人は

内的な平安と誠実さを抱くことはない

 

エゴが人間関係を思い通りに

動かそうとしているのを感じるだろう

 

ときには優しさや共感を示すふりもするが

巧妙に相手を操ろうとし

一見優しいが尊大な態度をとる

 

誠実さを身につけるという私的成功は

共通のビジョン、自制心、そして情熱を抱くという

公的成功の礎である

 

また

誠実さを発揮してリーダーシップをとることも

人との相互依存的な営みとなる

 

エゴに駆られた強大な独立した支配者と

卑屈で依存的な追従者との間の関係ではないのである

 

引用はここまで

 

少し長くなったが

これをこの一年意識して

日常に反映させて

行動をし続けてみよう

 

だがそれが簡単でないことは

十二分に自身も経験してきている

 

ただ

自分をよりよく変えること

環境をよりよく変えること

人に理解してほしいこと

 

これらは

勇気とやさしさを示せるよう

自分の心と相手の心を

どう扱うかにかかっている

 

心を育てる一環として

どれだけ自分の心から湧き上がる

「良心の声」に従おうとするか

 

今年一年がよりよき年になりますように

 

本年もよろしくお願い申し上げます